この記事では、小倉競馬場で開催される重賞レース「小倉記念(2021年)」の予想を特集します。ご紹介する内容は、今年の小倉記念で求められるラップ適性とファルコニアなど有力馬の評価についてです。馬券予想にご参考ください。
小倉記念2021 ラップ分析
まず初めに今年の小倉記念で求められるラップ適性について考察していきます。
例年であれば、良好な馬場コンディション下での開催による高速決着が基本の小倉記念。ただし、今年は天気が崩れ、道悪馬場での開催の可能性が高くなっています。そこで今回は、道悪馬場開催を想定したラップ適性を考察していきます。
下図は過去10年の小倉記念において、稍重・道悪馬場開催となった2013年、2014年の1ハロン毎の個別ラップの推移をまとめたグラフです。
対象レースが2レースと少なく若干参考にしづらい点はありますが、道悪馬場開催の小倉記念は道中のラップの緩みが少なく、スピードの持続力勝負になっていることが分かります。このスピードの持続力勝負という傾向は、良馬場開催の小倉記念と変わらず、道悪馬場になってもレースの本質は変わらないことを意味します。
一方でラップスピードは良馬場開催と比較して全体で低速化しており、道悪馬場開催の影響はラップスピードの低速化に出る傾向にあります。
続いて、この個別ラップの傾向をふまえ、独自の予想ツールである「ラップマトリックス」を用いてさらにラップ分析を進めていきます。
上図は2013年、2014年の小倉記念のラップ適性をまとめたラップマトリックスです。このラップマトリックスとは縦軸に勝ち時計をハロン数で割ったラップスピード、横軸に上り3ハロンを起点とするラップ変化指数でターゲットフロンティアでも使用される数値「RPCI」を取り、該当レースのラップ傾向をまとめたグラフです。
ラップマトリックスから小倉記念のラップ適性を分析すると、脚質型は持続力型が基本です。ラップスピードについてはバラつきがありますが、天気予報からある程度重めの馬場になることを想定すると、ラップスピード11秒80~12秒00で考えたいところです。
このような背景をふまえて考える、1週前時点で設定する小倉記念で求められるラップ適性ですが、ある程度重めの道悪馬場を想定して「持続力型×ラップスピード11秒80~12秒00」とします。次以降でご紹介する小倉記念の有力馬の評価については、この求められるラップ適性を判断軸に行っていきます。
小倉記念2021 ファルコニア ラップ適性
ここからは、ラップ分析から考える小倉記念の有力馬の評価についてご紹介します。まず初めに取り上げるのが、想定1番人気のファルコニアです。
上図はファルコニアの直近10戦のラップ適性をまとめたラップマトリックスです。ラップマトリックスから考えるファルコニアのラップ適性の特徴ですが、中距離戦におけるオールラウンダーなラップ適性があげられます。脚質型は底力型から超瞬発力型、ラップスピードは高速ラップから低速ラップまで結果を残しています。
小倉記念で求められるラップ適性に対しても、京都新聞杯で3着とまずまずの結果を残しています。その上で本質的なラップ適性を考えると、春日特別や難波ステークスの走り、ディープインパクト産駒の血統背景から瞬発力勝負が向く馬と考えています。
気になる道悪適性については、3歳時の未勝利戦やあすなろ賞が低速馬場であり、そのレースを勝利している点から一定の適性が見込めるでしょう。このような点を総合的に考慮して、A、B+、B、B-、Cの5段階で評価するラップ適性の評価は「B+」をつけます。
ある程度のラップ適性は見込めますし、今回のメンバー構成であれば能力面からも評価ができます。ただし、想定単勝オッズ1倍台も視野に入る人気は買いづらいです。高評価ながら、馬券的視点で本命馬として推しづらい印象です。
小倉記念2021 ヴェロックス ラップ適性
次に想定2番人気のヴェロックスを取り上げます。
上図はヴェロックスの直近10戦のラップ適性をまとめたラップマトリックスです。ラップマトリックスから考えるヴェロックスのラップ適性の特徴ですが、中長距離戦のバランス型や瞬発力型のレースに強いことがあげられます。
小倉記念で求められるラップ適性に対しては日本ダービーで3着の結果がありますが、日経新春杯で9着と凡走しています。また近走はラップ適性が近接するレースで凡走している点をふまえると、評価は下げざる負えません。ラップ適性の評価は「B-」とします。
過去の成績から馬場適性は、低速馬場よりは高速馬場向きな馬ですから、その点もマイナス材料。近走の成績が奮わない中で過去の実績から過剰人気な面も感じている一頭。個人的には厳しい評価です。
小倉記念2021 ダブルシャープ ラップ適性
最後にラップ分析から考える注目馬としてダブルシャープを取り上げます。
上図はダブルシャープの直近10戦のラップ適性をまとめたラップマトリックスです。ラップマトリックスから考えるダブルシャープのラップ適性の特徴ですが、芝1800m~2000mの中速ラップから低速ラップに強いことがあげられます。この条件下であれば脚質型は問わず、ある程度オールラウンダーなラップ適性が見込めます。
このダブルシャープのラップ適性は、今年の小倉記念で求められるラップ適性とも合致しており高評価です。実際に、前走の不知火ステークスでは勝利をあげ、4走前の壇ノ浦ステークスでは2着と好走を見せています。小倉記念の開催競馬場となる小倉芝1800mのレースであることもふまえると、かなりのラップ適性が見込めると考えます。
ラップ適性の評価は、最上級評価の「A」をつけます。
良馬場の高速馬場ではキレ負けする一方で道悪馬場の低速馬場は、この馬の個性が活き得意にしています。馬場適性の視点からも高い評価ができます。
昇級初戦での重賞挑戦となりますが、高いラップ適性と54kgという軽斤量も考慮すれば勝機はあると予想します。現時点では、本命候補の一頭として考えています。