この記事では、エリザベス女王杯(2021年)の予想を特集します。
ご紹介する内容は、エリザベス女王杯のラップ分析と上位人気馬3頭、アカイトリノムスメ、レイパパレ、ウインマリリンの評価についてです。
馬券予想にぜひご参考ください。
エリザベス女王杯2021 ラップ分析
初めにエリザベス女王杯のラップ分析をご紹介します。
上図は今年のエリザベス女王杯の開催コースとなる阪神芝2200mで開催されるG1レース、宝塚記念の過去5年と昨年のエリザベス女王杯のラップ適性をまとめたラップマトリックスです。
このラップマトリックスとは独自の予想ツールであり、縦軸に勝ち時計をハロン数で割ったラップスピード、横軸に上り3ハロンを起点とするラップ変化指数「レースペース変化指数・RPCI」を取り、対象レースのラップ適性を散布図にまとめたグラフです。
ラップマトリックスから今年のエリザベス女王杯で求められるラップ適性を分析すると、「持続力型・バランス型×ラップスピード11秒80〜12秒00」。まず大きな枠組みとしては、このあたりが想定されます。
その上で着目したいのが、今年の宝塚記念や昨年のエリザベス女王杯が例年の阪神芝2200m開催のG1のラップ適性とは異なるバランス型で上がり3ハロンが34秒台と瞬発力が求められていることです。
昨年のエリザベス女王杯の着順と上がり3ハロンのデータを確認すると、掲示板に載った5頭中4頭が上がり3ハロン33秒台の速い末脚を使っており、ラッキーライラックやサラキア、ラヴズオンリーユー、センテリュオといった瞬発力に長けた馬が名を連ねています。
このような背景から今年のエリザベス女王杯は、同コースで行われる例年の宝塚記念で求められる底力や持続力の能力よりも瞬発力が求められると考えます。
そのためエリザベス女王杯で求められる最終的なラップ適性については、「バランス型×ラップスピード11秒80〜12秒00」とします。
次以降でご紹介する上位人気馬3頭については、この求められるラップ適性を判断軸に評価を行なっていきます。
エリザベス女王杯2021 アカイトリノムスメ
ここからはエリザベス女王杯は上位人気馬3頭、アカイトリノムスメ、レイパパレ、ウインマリリンのラップ適性の評価についてご紹介していきます。
なお、このラップ適性の評価はS、A、B、C、Dの5段階で評価を行なっていきます。
まず初めに「アカイトリノムスメ」を取り上げます。
上図はアカイトリノムスメのデビュー戦から前走秋華賞までのラップ適性をまとめたラップマトリックスです。
プロットしたグラフには、上段にレース名、馬場状態、着順、下段がカッコ内に上がり3ハロン、馬場指数を記載しています。
このラップマトリックスからアカイトリノムスメのラップ適性を分析すると、「持続力型・バランス型×ラップスピード11秒60〜12秒20」のレースを得意にしていることが分かります。
馬場適性は馬場指数「-2.2〜+1.5」まで好走実績があります。
ただし、秋華賞の馬場指数は強風の影響が含まれていることも加味すれば、馬場適性は超高速馬場から中速馬場までが適当でしょう。
エリザベス女王杯で求められるラップ適性に対しては、マイル戦となりますが勝利した未勝利戦と赤松賞が合致して2戦2勝と好成績をあげています。またラップ適性が近接する芝2400mのオークスでも2着と好走実績があります。
能力として一定の瞬発力はある馬ですし、中距離戦の持続力型からバランス型のレースの安定感は非常に高いものが見込める馬です。
このような点からアカイトリノムスメは、エリザベス女王杯に対して非常に高いラップ適性が見込めると考えます。
ラップ適性の評価は、最上級評価の「S」評価をつけます。
3歳秋のこの時期で古馬との斤量差-2kgの54.0kgは魅力ですし、札幌記念ではソダシがラヴズオンリーユーを完封する形で負かしているので、3歳牝馬世代は牡馬世代同様にハイレベル世代の可能性が高いです。
さらに今年は古馬勢のメンバーが若干手薄でしかも有力馬にそれぞれ不安要素があることから、個人的には前走に続く好走が期待できる一頭と評価しています。
1着、2着の勝ち負けが見込める一頭と高く評価しています。
エリザベス女王杯2021 レイパパレ
2頭目には、レイパパレを取り上げます。
上図はレイパパレのデビュー戦から前走オールカマーまでのラップ適性をまとめたラップマトリックスです。
ラップマトリックスからレイパパレのラップ適性を分析すると、「持続力型〜瞬発力型×ラップスピード11秒70〜12秒20」のレースを得意にしていることが分かります。
重賞競走以降のレースを見る限り、本質的には底力や持続力が武器の馬で、その能力が活かせる持続力型がベストな馬と考えています。
馬場適性については、馬場指数「-1.5〜+2.3」。高速馬場から超低速馬場まで好走実績があります。
ただ、こちらも底力や持続力が活きる状態、時計がかかる中速馬場や低速馬場、超低速馬場が良い馬でしょう。
エリザベス女王杯で求められるラップ適性に対しては、前走のオールカマー4着と前々走の宝塚記念3着のレースが合致します。
この結果と底力や持続力に長けた馬であることをふまえると、エリザベス女王杯に対しては高いラップ適性が見込めるとは考えません。
厳しめの評価ですが、ラップ適性の評価は及第点止まりの「B」とします。
ラップ適性以上に気になるのが距離適性であり、直近2走のレース内容から200m距離が明らかに長い印象です。さらにレイパパレ、ウインマリリンと先行馬に有力馬が集まりマークが前に行くことを考えると、今回も距離が厳しい印象は否めません。
乗り替わりのルメール騎手がどう距離を持たせるのか、どのような騎乗をするのかに注目と言えます。
エリザベス女王杯2021 ウインマリリン
最後の1頭には、「ウインマリリン」を取り上げます。
上図はウインマリリンの直近10戦のラップ適性をまとめたラップマトリックスです。
ラップマトリックスからウインマリリンのラップ適性を分析すると、「バランス型・瞬発力型×ラップスピード11秒80〜12秒30」のレースを得意にしていることが分かります。
馬場適性は馬場指数「-2.8〜+0.5」。超高速馬場から中速馬場まで好走実績があります。
速い時計の出る超高速馬場もしくは高速馬場下で道中のラップに緩みが生じるバランス型や瞬発力型のレースを先行して早め先頭から後続を抑え込むという形がウインマリリンの好走パターンです。
エリザベス女王杯で求められるラップ適性に対しては、直線前が詰まりながら勝利した前走のオールカマーと外差し有利の中で先行して内をついて唯一掲示板を確保した昨年のエリザベス女王杯4着の結果が合致します。
現状の阪神競馬場の前が残りやすい馬場状態も考慮すると、かなり高い適性が見込めると考えています。
そのためラップ適性の評価は、「A」と高評価をつけます。
超高速馬場〜高速馬場下での持続力型〜瞬発力型の中距離戦であれば、ラップ適性は間違いなく高いものが見込めます。本来であれば、アカイトリノムスメを抑えてウインマリリンをS評価にしたいと考えていました。
しかしラップとは異なる視点になりますが、状態面が明らかに不安です。右肘の腫れの症状が見られ、追切時計は物足りず、陣営からは「治療を継続しながら調整を進めていきたい」とのコメントも出ています。
この状態面の情報を知ってしまうとさすがにS評価はつけづらく、A評価となりました。