この記事では、注目の重賞競走「紫苑ステークス(2021年)」の予想を特集します。
ご紹介する内容は、紫苑ステークスで求められるラップ適性と有力馬・注目馬となるファインルージュ、ハギノピリナ、ホウオウイクセル、エイシンチラー、エクランドールの評価、そして推奨穴馬についてです。
馬券予想にぜひご参考ください。
目次
紫苑ステークス2021 ラップ分析
まず初めに、紫苑ステークスで求められるラップ適性について考察していきます。
上図は、過去5年の紫苑ステークスの1ハロン毎の個別ラップの推移をまとめたグラフです。紫苑ステークスは、開幕週の良好な馬場コンディションによる高速ラップの中距離戦であることが特徴のレースです。過去5年の勝ち時計の平均は1分59秒6、昨年の道悪馬場で極端に勝ち時計が遅くなった年を除く平均の勝ち時計は1分59秒0と3歳牝馬限定重賞としては速い時計での決着となっています。
また中距離戦の高速ラップへの適性に加えて重要となるのが、速い上りへの適応力です。過去5年のレース全体の上り3ハロンの平均は34秒8。年によっては34秒台前半・中盤となることもあり、急坂の中山芝2000mでも上りの速さが求められます。この点については、紫苑ステークスの予想を進める上で抑えておきたいポイントです。
続いて、この個別ラップの傾向をふまえ、独自の予想ツールである「ラップマトリックス」でラップ分析をさらに進めていきます。
上図は過去5年の紫苑ステークスのラップ適性をまとめたラップマトリックスです。このラップマトリックスとは縦軸に勝ち時計をハロン数で割ったラップスピード、横軸に上り3ハロンを起点とするラップ変化指数でターゲットフロンティアでも使用される数値「RPCI」を取り、該当レースのラップ傾向をまとめたグラフです。
ラップマトリックスから紫苑ステークスのラップ適性を分析すると、脚質型はバランス型もしくは瞬発力型、ラップスピードは11秒80~12秒00が基本となっています。
このような背景をふまえて1週前時点で考える今年の紫苑ステークスで求められるラップ適性ですが、「バランス型・瞬発力型×ラップスピード11秒80~12秒00」に設定します。
次以降でご紹介する有力馬や注目馬、そして推奨穴馬の評価については、この求められる適性を判断軸に行っていきます。
紫苑ステークス2021 ファインルージュ ラップ適性
ここからは紫苑ステークスの有力馬・注目馬となるファインルージュ、ハギノピリナ、ホウオウイクセル、エイシンチラー、エクランドールのラップ分析から考える評価についてご紹介します。
まず初めに取り上げるのが「ファインルージュ」です。
上図はファインルージュのデビュー戦から前走オークスまでのラップ適性をまとめたラップマトリックスです。プロットしたグラフにはレース名、馬場状態、レース全体の上り3ハロン、馬場差、着順を示しています。なお馬場差は数値がマイナスにいくほど高速馬場、プラスにいくほど低速馬場となります。
ラップマトリックスから考えるファインルージュのラップ適性の特徴ですが、「持続力型・バランス型×ラップスピード11秒40~11秒90」のレースを得意にしています。距離適性は、実績から芝1400m~芝1600mのマイル前後と捉えています。
イメージとしては、同じキズナ産駒のマルターズディオサに似た適性を持つ馬と考えています。
紫苑ステークスで求められるラップ適性に対しては、東京芝1400mで行われた未勝利戦が合致します。ただし、距離が大きく異なることから参考外といえ、それ以上に同じ中距離戦でラップ適性が近接するオークスの結果を参考にすべきと考えます。
オークスのレース内容を見る限り距離が長い印象で、やはりベストは芝1400m~芝1600mでしょう。もちろん昨年のマルターズディオサのように能力で押し切ってしまう可能性はありますが、中距離戦のラップ適性は疑問視しています。
A、B+、B、B-、Cの5段階で評価するラップ適性の評価は、平均評価の「B」とします。
紫苑ステークス2021 ハギノピリナ ラップ適性
2頭目には、「ハギノピリナ」を取り上げます。
上図はハギノピリナのデビュー戦から前走オークスまでのラップ適性をまとめたラップマトリックスです。
ラップマトリックスから考えるハギノピリナのラップ適性の特徴ですが、「持続力型・バランス型×ラップスピード12秒00~12秒40」のレースを得意にしています。距離適性は、実績から芝2200m以上の中長距離戦と捉えています。
イメージとしては、同じキズナ産駒でマーメイドステークスを勝ったシャムロックヒルや凱旋門賞に挑むディープボンドに似た適性を持つ馬と考えています。ファインルージュと同じキズナ産駒でも、大きく適性が異なるという点はキズナ産駒の特徴を示す傾向と捉えています。
紫苑ステークスで求められるラップ適性に対しては、東京芝2400mで行われた前走のオークスの3着が近接します。このオークス3着の実績は評価ができますが、明らかにラップスピードは低速化した方が良い馬ですし、距離も芝2000mよりは延びた方が良いです。その点で芝2000mの高速ラップ決着に対する適性はどうでしょうか。
開幕週で行われるレースでの差し・追込脚質と末脚自体はキレるタイプではないことも考慮して、ラップ適性の評価は、「B」とします。
紫苑ステークス2021 ホウオウイクセル ラップ適性
3頭目には、「ホウオウイクセル」を取り上げます。
上図はホウオウイクセルのデビュー戦から前走桜花賞までのラップ適性をまとめたラップマトリックスです。
ラップマトリックスから考えるホウオウイクセルのラップ適性の特徴ですが、「持続力型・バランス型×ラップスピード11秒80~12秒20」のレースを得意にしています。距離適性は、実績から芝1600m~1800mといえます。
イメージとしては、同じルーラーシップ産駒の牝馬ウラヌスチャームに似た適性を持つ馬と考えています。
紫苑ステークスで求められるラップ適性に対しては、適性が合致するレースはありませんが、やや適性が近接する中山芝1800mで開催されたフラワーカップの勝利実績があります。この実績から、まずまずのラップ適性が見込めると評価しています。
血統から芝2000m以上のレースも問題なく、むしろ歓迎と捉えています。ラップスピード自体は中速・低速の方が良い馬でしょうから、多少は馬場が渋ってほしいところ。それでも高評価には変わりなく、ラップ適性の評価は「B+」とします。ここまで取り上げた有力馬3頭の中では本命候補の一頭と評価しています。
紫苑ステークス2021 エイシンチラー ラップ適性
4頭目には紫苑ステークスの注目馬として「エイシンチラー」を取り上げます。
上図はエイシンチラーのデビュー戦から前走三面川特別までのラップ適性をまとめたラップマトリックスです。
ラップマトリックスから考えるエイシンチラーのラップ適性の特徴ですが、「持続力型~瞬発力型×ラップスピード11秒80~12秒20」のレースを得意にしています。距離適性は、実績から芝1600m~1800mと捉えています。マイル前後の距離であれば、ある程度オールラウンダーなラップ適性が見込めることが特徴的です。
個人的イメージとしては、プリシーンの距離適性を若干延ばして脚質的な器用さを足した印象です。
紫苑ステークスで求められるラップ適性に対しては、新潟芝1800mで行われ勝利した前走の三面川特別が合致します。この三面川特別は、前有利な展開を後方大外一気の差しきり勝ちですから、そのパフォーマンスは非常に高いものを示しています。そのため、高いラップ適性が見込めると評価しています。
このような背景からラップ適性「A」でも良い馬なのですが、個人的に200m距離が長い印象が拭えないため、ラップ適性の評価は、「B+」に留めます。ラップ適性「B+」で、直近2走のレースも高いパフォーマンスを見せている馬ですから、オッズ次第で本命候補の一頭と言える馬です。
紫苑ステークス2021 エクランドール ラップ適性
5頭目には、注目馬筆頭といえる「エクランドール」を取り上げます。
上図はエクランドールのデビュー戦・前走の1勝クラスのラップ適性をまとめたラップマトリックスです。
ラップマトリックスから考えるエクランドールのラップ適性の特徴ですが、「持続力型~瞬発力型×ラップスピード12秒00~12秒20」のレースで結果を残しています。距離適性は、実績から芝1800m~2000mと捉えています。
フィエールマンの全妹にあたるエクランドールですから、兄同様に中長距離戦で末脚の速さ・キレが活かせるレースが向く馬です。
紫苑ステークスで求められるラップ適性に対しては、東京芝2000mで行われた前走の1勝クラスが合致します。この実績から、まずまずのラップ適性が見込めると評価します。そのためラップ適性の評価は、「B+」とします。
このように高いラップ適性が見込めるエクランドールですが、気になるのが実績以上にかなり人気を集めそうな点です。フィエールマンの全妹という超良血馬でノーザンファーム生産馬、そして鞍上がルメール騎手ですから致し方ない点はあるとはいえ、ここまで2戦のレース内容からは兄のフィエールマンほどのインパクトは感じません。
そうなると相手候補までの一頭かと考えています。
紫苑ステークス2021 スライリー ラップ適性
この記事の最後にここまでご紹介した5頭以外で注目したい推奨穴馬を取り上げます。推奨穴馬として取り上げたいのが、「スライリー」です。
上図はスライリーのデビュー戦から前走オークスまでのラップ適性をまとめたラップマトリックスです。
ラップマトリックスから考えるスライリーのラップ適性の特徴ですが、「バランス型・瞬発力型×ラップスピード11秒90~12秒20」のレースを得意にしています。距離適性は、実績から芝1600m~2000mと捉えています。
イメージとしては、福島記念を勝った同じオルフェーヴル産駒のバイオスパーク女版といった印象で、中距離戦を主戦場して成績にムラがありながらもハマった時は勝ちきる力がある馬と評価しています。
紫苑ステークスで求められるラップ適性に対しては、2着と好走したフローラステークス、着外となった赤松賞が合致します。なかでも評価したいのがフローラステークスでの走りで、このレースではオークス馬のユーバーレーベンに先着しています。ラップ適性の評価は「B+」とします。
前走のオークスは、中盤からかかり気味で大外をマクるという雑な競馬で最後はガス欠した印象です。それでも直線で見せ場はありましたから、能力の高さがうかがえます。
成長力豊かなオルフェーヴル産駒ですから、3歳夏を越えての成長力も見込めます。ここは仕切り直しの一戦として、期待が持てるのではないかと考えます。個人的に期待したい一頭です。