この記事では、「オールカマー(2021年)」の予想を特集します。
ご紹介する内容は、オールカマーのラップ分析と有力馬の評価、そして有力馬の中から選ぶ推奨馬についてです。
なお、今回から従来のラップマトリックスに加えて個別ラップの視点も入れた分析・予想手法を試験的に取り入れます。そちらについてもご注目ください。
目次
オールカマー2021 ラップ分析
まず初めにオールカマーのラップ分析をご紹介します。
オールカマー2021 ラップ適性
上図は、過去5年のオールカマーのラップスピードとRPCI・上り指数をまとめたラップマトリックスです。
このラップマトリックスとは縦軸に勝ち時計をハロン数で割ったラップスピード、横軸に上り3ハロンを起点にした前後のラップ変化を指標とする「RPCI」を取り、該当レースのラップ傾向をまとめたグラフです。
なお、従来はRPCIを用いて底力型、持続力型、瞬発力型といったレースの脚質型を導いていましたが、今回から上り指数という指標に変更します。レースの脚質型については、この後にご紹介する個別ラップから導く形を取りたいと思います。
ラップマトリックスからオールカマーのラップ傾向を分析すると、ラップスピードは「11秒95~12秒35の中速ラップから低速ラップ」、上り指数は「52.0~58.0の持続から加速」を示しています。
オールカマー2021 ラップ傾向
次に個別ラップを通じて、オールカマーではどのようなラップの質・特性が求められるのか分析を進めていきます。
上図は、過去5年のオールカマーの個別ラップの推移をまとめたグラフです。数字を記載した赤色のグラフは5年平均のグラフとなります。
この個別ラップの推移からオールカマーで求められるラップの特性を分析すると、「ラスト5Fもしくはラスト6Fを起点とするロングスパート戦」となっていることが分かります。個別ラップに0.5秒以上のラップの高速化が生じる「ギアチェンジ」は起こっておらず、スピードの絶対値よりもスピードの持続力が求められるレースです。
ここまでご紹介したオールカマーのラップ分析をまとめると、ラップの特性は「5F・6Fのロングスパート戦」、ラップスピードは「11秒95~12秒35の中速ラップから低速ラップ」、上り指数は「52.0~58.0の持続から加速」となります。
次以降でご紹介する有力馬については、この3つの指標を判断軸に分析・評価を行っていきます。
オールカマー2021 有力馬評価
ここからはオールカマーの有力馬の評価についてご紹介していきます。
レイパパレ 評価
まず初めに「レイパパレ」を取り上げます。
上図はレイパパレの直近10戦のラップ傾向をまとめたラップマトリックスです。
レイパパレのラップ適性の特徴ですが、特性は「ワンペース戦、4Fロングスパート戦、瞬発力戦」、ラップスピードは「11秒70~12秒20(高速ラップ~中速ラップ)」、RPCI・上り指数は「48.0~58.0(持続・加速)」を得意にしています。
このレイパパレのラップ適性は「オールラウンダー」と言えます。
オールカマーに対するラップ適性については、ラップスピード、上り指数が合致して特性も似ている4ハロンのロングスパート戦となったチャレンジカップを勝利していることから高いラップ適性が見込めます。
A、B+、B、B-、Cの5段階で評価するラップ適性の評価は「B+」と高評価です。
このように高いラップ適性が見込めるレイパパレですが、気になるのが距離適性。宝塚記念のラスト1ハロンの失速を見る限り芝2200mはやや長い印象ですので、その点をどう評価するかが予想の分かれ目と言えるでしょう。
ステイフーリッシュ 評価
2頭目には「ステイフーリッシュ」を取り上げます。
上図はステイフーリッシュの直近10戦のラップ傾向をまとめたラップマトリックスです。
ステイフーリッシュのラップ適性の特徴ですが、 特性は「ワンペース戦、4F・6Fロングスパート戦」、ラップスピードは「11秒90~12秒40(高速ラップ~低速ラップ)」、上り指数は「50.0~58.0(持続・加速)」を得意にしています。
オールカマーに対するラップ適性については特性、ラップスピード、上り指数ともに合致する昨年のオールカマーで3着の好走実績があり評価ができます。特性として瞬発力戦に弱い一方でワンペース戦やロングスパート戦に対しては高い適性を誇り、その点も加味するとオールカマーに対するラップ適性は高いものが見込めると評価します。
ラップ適性の評価は「B+」と高評価をつけます。
前走の心房細動のアクシデントがあった中で今回のメンバー構成で勝てるとは思えませんが、条件は揃っていますのでこの馬なりには走ってくるでしょう。
「うまく立ち回り走って馬券圏内」、「この馬なりに走るも掲示板止まり」、どちらを取捨するかの一頭と考えます。
ランブリングアレー 評価
3頭目には「ランブリングアレー」を取り上げます。
上図はランブリングアレーの直近10戦のラップ傾向をまとめたラップマトリックスです。
ランブリングアレーのラップ適性の特徴ですが、 特性は「底力戦、ワンペース戦、ワンペース&瞬発力戦、瞬発力戦」、ラップスピードは「11秒40~12秒80(超高速ラップ~超低速ラップ)」、上り指数は「44.0~54.0(減速・持続・加速)」を得意にしています。
底力戦、ワンペース戦、瞬発力戦、そしてG1レースに多いワンペース&瞬発力戦と幅広いラップ特性を誇り、かつラップスピード、上り指数も問わない「オールラウンダーなラップ適性」がランブリングアレーの特徴です。
オールカマーに対するラップ適性については、ラップスピードと上り指数が合致する昨年の四国新聞杯2着の結果が合致します。直近10戦でロングスパート戦のレースを経験していないため、ラップ適性は未知数な面が大きいと考えます。
そのため、ラップ適性の評価は「B」とします。
実績の割に人気しない馬ですが、近走のレース内容から今回のメンバー構成に入っても十分に通用する力は持っています。あとは課題の距離とロングスパート戦にどこまで適応できるかどうかでしょう。
ラップ能力自体はオールラウンダーですから、距離さえこなせればここも好走するイメージは湧きます。
グローリーヴェイズ 評価
4頭目には「グローリーヴェイズ」を取り上げます。
上図はグローリーヴェイズの直近10戦のラップ傾向をまとめたラップマトリックスです。
グローリーヴェイズのラップ適性の特徴ですが、 特性は「4Fロングスパート戦」、ラップスピードは「12秒10~12秒20(中速ラップ)」、上り指数は「46.0~58.0(減速・持続・加速)」を得意にしています。
4ハロンのロングスパート戦に特化した馬で直近10戦で好走したレースはいずれもラスト4ハロンで0.5秒以上のラップの高速化「ギアチェンジ」が起こっています。
オールカマーに対するラップ適性については、ラップスピードと上り指数が合致する天皇賞春2着、京都大賞典1着と2戦して1勝、2着1回と好成績をあげています。両レースともに4Fとはいえ、ロングスパート戦であったことを加味すればラップ適性は高いものが見込めると考えます。
ラップ適性の評価は「B+」とします。
このように高いラップ適性が期待できるグローリーヴェイズ。あとは急坂コースよりは平坦コース向きの馬と考えますので、その点をどう捉えるかでしょう。
オールカマー2021 推奨馬
それでは、この記事の最後にオールカマーの1週前推奨馬をご紹介します。
推奨馬には、「ウインマリリン」を取り上げます。
ウインマリリン 評価
上図はウインマリリンの直近10戦のラップ傾向をまとめたラップマトリックスです。
ウインマリリンのラップ適性の特徴ですが、 特性は「ワンペース&瞬発力戦、4F・5Fロングスパート戦」、ラップスピードは「11秒90~12秒40(高速ラップ~低速ラップ)」、上り指数は「48.0~58.0(持続・加速)」を得意にしています。
ウインマリリンの好走パターンは、G1レースで多い「道中がワンペースで流れながらも直線でギアチェンジが起こり瞬発力が求められるワンペース&瞬発力戦」、もしくは中山中長距離戦に多い「5F、6Fからのロングスパート戦」の2つです。
オールカマーで求められるラップ適性に対しては特性、ラップスピード、上り指数の3つが全て合致する日経賞での勝利があります。
この日経賞は残り5ハロンでギアチェンジが起こり、その後はゴールまでロングスパート戦となったレースです。このレースでウインマリリンは、カレンブーケドールやワールドプレミアといった一線級の馬を退けているわけですから、高く評価できます。
オールカマーに対するラップ適性の評価は、最上級評価の「A」をつけます。
このように非常に高いラップ適性が見込めるウインマリリン。ラップの視点からは好走条件が揃いました。あとは休み明けがあまり良くない馬のため、仕上げに期待したいところです。
1週前推奨馬はウインマリリン。その走りに注目します。